日本人も買えるホーチミン市のマンション Vinhome Grand Parkに行ってきました
ベトナムの不動産を外国人が買える?
ベトナムの不動産価格は上昇を続けています。
本職ではないので分析は避けますが、在住者としての肌感覚としてみていても開発がどんどんと進んでいるし、30歳ぐらいの若い世代が買うようになっていると思います。
日本のバブル景気や中国の不動産を見てきた日本人としては、うらやましい、このビッグウェーブに乗らなければ、という気持ちと、危なっかしい、この世に値上がり続けるものなどなく、「必ず値上がりするのだから今なんとしても買わなくちゃ損だ」と人々が思いんでいる時点でもうやばいという気持ちと、両方があります。
とはいえ、私達はベトナム人ではなく、住まわせてもらっているだけの外国人。不動産というものはその性質上、外国人が無闇矢鱈に所有して良いものではないです。特に独立のために多大な犠牲を払ったベトナムだけに、とちょっと考え込んでしまいます。
そんなベトナムで、ようやく外国人も限定的ながら不動産所有ができるようになったぞというニュースが流れたのが2015年。しかしその後実際に買ったという話を周囲で聞かなかったのですよね。
類は友を呼ぶので、金のない私の周りには資産家と言えるような人がいないから目につかないだけなんだろうと思いますが、若いベトナム人たちが普通に郊外のマンションを買うようになってきて、さすがに気になってきました。
そこで、不動産デベロッパーに勤めるベトナム人の友人に頼んで、外国人でも買える不動産物件を見学に行ってきました。
ホーチミン市東部の大規模開発Vinhome Grand Park
場所はホーチミン市中心部から北東に直線距離で17km. 東京で言えば松戸ぐらいにあたります。上の地図の赤いラインは、開通するすると言い続けてまだ開通しない地下鉄1号線。とはいえハノイの地下鉄も開通したし、線路や駅もかなりできてきたし、いよいよかと思います。その終点のスオイティエン公園を松戸とすれば、ちょうど常盤平団地みたいなものだと考えればよいのではないかと思います。
現在、敷地の西側1/3ほどが完成済みですでに入居しています。東側2/3が工事中で、段階的に完成していくのですが早いところで2023年6月完成予定。遅いところで2024年12月完成予定です。
まだ完成していないマンションを売っているのは不思議な気がしますが、これはベトナムの不動産の慣習で、数年後に完成予定の未完成の物件を売り出します。つまりこれは未公開株の購入のようなもので、デベロッパーからすれば開発費を早い段階で回収できるので資金繰りが良くなり、買い手からすると確実に値上がりすると期待できる物件を割安に手に入れることができるわけです。いろいろな意味で「投資」ですね。
とはいえこれは、不動産価格が確実かつハイレベルで上昇するからこそ成り立つ仕組みであって、値下がりすると阿鼻叫喚となります。
またデベロッパーが倒産するとたいへんなことになります。
それは分かった上で「『確実に儲かる』投資話」がベトナム社会を漂っているわけで、あのデベロッパーは危ないとか、あの物件は実はとか、人脈でおいしい話が流れてくるとかそういうこともあるわけで、また人々がそれを信じているわけで、良いとか悪いとかではなくてそういうものでありそういう市場なのだと思うしかないでしょう。
なお、この物件を開発しているVinhomeはベトナム最大手のデベロッパーで、ベトナムを支配しかねない勢いで多業種に展開しています。ベトナムを代表する企業グループと言って良いでしょう。Vinfastという自動車も作っていて、Vinhomeの家を買うとVinfastの自動車の7000ドルぐらいのバウチャーがついてきます。
「大手だから大丈夫」
投資はいつもこういう話にあふれていますからね。日本人としては斜に構えたくなるところですが、そこはご自由にどうぞ。
なお、これは法律上の縛りにより外国人が購入できるのは全体の30%で、さらに国籍ごとに枠があり、友人によると日本人以外の枠はもう埋まってしまったということです。ほんまかいなという気はしなくはないですが、有り得る話かとも思います。
でかい。でかい。
とにかく大規模開発です。
2kmぐらい離れたところから撮影しました。2022年8月現在で完成している東側1/3だけでも、この大きさになります。
敷地の真ん中あたりに池があり、その池を囲むように公園があります。これがこの開発の目玉で、Grand parkの名前の由来となります。
その丸く突き出した半島状の部分の端にたってぐるっと見渡しを動画撮影してみました。向かいの島から、緑色の地区、黄色の地区ぐらいまでが写っていることになります。
ちなみにこの公園は、ダナンの砂を持ってきているとのこと。リゾート感は満載ですが、実際にこの水の中に入るのはちょっと嫌かな。子供を遊ばせるのも躊躇しますね。
ただ、水があれば必ず入らなければいけないわけではなく、ジョギングやウォーキング、エクササイズをするには非常に良いと思います。ベトナム社会は朝が早く夜明け頃には多くの人が屋外で運動をしていますが、涼しいその時間にここで運動したらさぞかし気持ちよさそう。
また、リゾートはともかく、かなり大きな規模のBBQ施設が整っているのはポイントが高いと思います。
これからできる3つのエリア
Lumie(黄色)
2023年6月完成予定。この写真を撮ったのは2022年8月13日ですが、その時点でここまでできているということになります。
この部分はパークビューということで一番値段が高い。なんせ公園が売りの物件ですからね。
最多価格帯は5tyぐらいとなっているようです。
5tyというのは、5,000,000,000ドンのことです。日本風に言うと50億ドンということになりますが、それをいってもベトナム人も日本人も混乱するので、英語のbillionと考えるのが一番だと思います。「ティー」と発音します。
1ty (1 billion)がだいたい日本円で500万円ぐらい、・・・だったのですが最近の円安などで今は580万円ぐらいになっています。
なので、5tyというのは、2500万円〜3000万円ぐらいと考えればよいですね。
Beverly(緑)とSolari(青)
今回売り出しているのは、青のSolariの部分。公園から遠いので敷地の中では一番安くなっていますが、それでもワンルームであるStudioで2tyぐらい。一番多い2部屋タイプ(日本風に言えば2LDK)で3tyぐらいです。
青の部分のSolariはさらに3つの地区に分かれていて、先行するOasis地区が2023/10、その次にできるTropical地区は2024/10に完成予定。
黄色のBeverlyは2024/12に完成予定ですが、まだ建っていません。
Beverlyは、プライシング的には中間で、2部屋タイプのボリュームゾーンが4tyぐらいとのこと。
これは、池越しにBeverlyとSolariを臨んだものですが、写真に見えている作成途中の建物はSolariになります。黄色のBeverlyがまだ建っていないので直接見えてしまっているわけですね。Beverlyが完成した暁には、それに遮られて青のSolariからは公園は見えなくなります。
私は個人的には公園なんかが見えるよりも、東向きでドンナイ川のリバーサイドとなるSolariのほうがいいなって思うのですが、それは私の好みであって、投資という観点で考えるとまた違うもののみかたもあるでしょう。
で、儲かるの?
このGoogle streetviewの画像は、敷地の左半分の先行して完成した部分になります。3年ほど前にできたそうですが、そのときに1ty(約500万円)でStudio(ワンルーム)を購入した友人は、今は値段が倍の2ty(約1000万円)になったと言っています。そりゃこんなもん、なんとしても購入したくなりますね。
もちろん投資なので、確実に値上がりするとか儲かるなんてことは言いません。
というか土地神話もバブルも経験した日本人として、ベトナム人が無邪気に不動産価格の値上がりを信じていることを、私は恐ろしく感じています。
もっとも同じ怖さを中国に対してずっと抱いていたのですが、抱き続けて20年経った。
「俺、もっともっと昔になんで中国の不動産を買わなかったんだろう」
って40歳以上の全世界の人間が思っていることと同じことを今私も思ってもいるわけなので、「自分の目の黒いうちはベトナム不動産は上がる。自分は売り抜けて逃げ切れる」と信じるのもまた一つの人生でしょう。
中国にしてもベトナムにしても、不動産投資に関してどこか不安定さを感じるのが、それが投資ではなくて投機の側面が強いから。
その物件の生み出す本来の「稼ぐ力」から遊離して、高く買う人がいるから転売して儲けられるというのは、危なっかしい。
ただこれはナイーブな問題です。私が簡単に断罪できるものではない。
そこでここでは、このVinhome Grand parkの「本来の稼ぐ力」の観点から解説をしてみます。
Vinhome Grand parkの真ん中には、太い道路が記載されていますが、これはまだ開通していません。それもそのはずで、これはまだ建設途中のホーチミン市環状道路3号線(Vành đai 3 TP.Hồ Chí Minh)となります。
JETROやベトナム投資セミナーなどでこの街の未来予想図を見たことのある人もいるかも知れませんが、何重にも張り巡らされた環状道路に高速道路、市内を縦横無尽に走り回る地下化鉄網と、希望と願望が入り乱れた大盤振る舞いです。でも現実には地下鉄1号線もまだ開通していません。チョロン運河沿いの道路にBRTを通す話もいつまで立っても・・・ あんなものすぐできそうなものなのに・・・
そんなわけで、かなり眉唾もののホーチミン市発展計画ですが、この環状道路3号線はガチです。かなり作っています。そしてこの環状道路3号線はこの街の将来の大幹線になることは間違いないと私は思っています。だからそれに面している(というか敷地の中を貫通している)のは、とても将来性のあることだと思います。
なぜここまで言い切るかというと、自動車の普及と30代の人口動態です。
ベトナムはバイク王国であり、誰もがバイクに乗って通勤通学をしていることは、皆さんご存知かと思います。騎馬民族が馬に乗っているかのように、ベトナム人はバイクに乗ります。これは本当です。しかし四輪よりも二輪が好きだからバイクに乗っているのかというわけでもなくて、自動車に乗れるものなら乗りたいというのが本音です。
- バイクは暑いし雨に濡れるし危ないし疲れる。
- 子供の学校への送迎は親が行うので子供を乗せていきたい。ママ友に見られるし。
- 車で帰省したい。子供を抱えて混んだバスとか乗りたくない。
結局の所、ベトナム人がなぜ自動車がほしいのかの理由は、他の国の人々と大差はありません。
しかしこの街で自動車を使うことはそれほど便利ではありません。道路が細いし、駐車場がない。街というか生活スタイルそのものがバイクを前提として作り込んでしまったので、自動車に乗っても行くところも停めるところもないのです。しかもベトナムは自国の自動車産業育成政策から輸入車に高い関税をかけており、ベトナムの乗用車の価格は非常に高い。それでも自動車の所有率は上がっています。
結局の所、ホーチミン市は、バイク用に作られた現在の市街地区域(概ね環状道路2号線の内側)を旧市街として放置して、自動車で生活しやすい新市街を環状道路3号線沿線に作っていくことになると私は思います。
また、ベトナムは所得水準に対して不動産価格が高いです。市内のタウンハウスは非常に高価であり、僅かな空き地を再開発して作った都心部のコンドミニアムもまた非常に高価なものになっています。それでも買える人がいるから開発されているわけですが、住宅ローンで物件を買う30台共働き世帯に買える額ではありません。彼らが購入可能な値段帯にしようとすると、地価の高い都心部は避けて郊外に向かわざるを得ません。このような経済成長に伴う中産階級向け住宅地の郊外への拡大は、日本人にはイメージしやすいものではないでしょうか。そしてその現在の最前線がだいたいこの環状道路3号線のあたり。松戸・・・大宮・・・横浜・・・ つまりこれはホーチミン市の国道16号線なのです。
以上のようなことを考えると、この物件の立地のポテンシャルはとても高く、単なる投機用の郊外乱開発ではなくてベトナムが車社会になったときに価値の上がる土地であると、私は思います。
どうやって買うのか
営業に問い合わせて現在の空き物件をリストアップしてもらいます。
そして、買うとなったらすぐ買います。少なくとも手付けを打ちます。
このような物件は売出し時期や空き情報そのものが価値があるため、表示価格でいつでも買えるというわけではないです。生物です。
そして、賃貸の場合もそうですがベトナム人は不動産の決定に対して即断即決です。パンフレットを持って帰ってじっくり検討とかないですし、事前にやっておきます。また、買い手側の購買意欲が高まるまで売り手側がじっくり待ってくれるということもありません。スーパーではなく魚市場で魚を買うようなものだと思ってもらえればいいです。
これはVinhome Grandparkの展示会場です。大型のショッピングセンターのフロア半分ぐらいを使っていましたが、それでも大盛況でした。
ベトナム人の不動産購入のステップは、不動産投資をビジネスにしていない普通の人の場合、だいたい知り合い伝手で不動産の営業マンと知り合い、その人の案内で開発途中のマンションを見せてもらい、展示会場でセールスを受けるというものになります。
気をつけるべき点は、購入して引き渡された時点では、内装がされていないということです。
内装は購入者が自分で行います。
したがって、住むか貸し出すのなら内装費も予算に含めておかなければいけません。
しかし、その分だけ需要が多く業者も多いので、思っているほど高いわけではありません。
これぐらいのマンションだと、一式揃えて150万円〜200万円ぐらいだということです。
投資しますか?
ベトナム人は住宅ローンを組んだり、また段階的に支払いをするということもあるようですが、外国人はローンが組めないことがあり、基本的に現金一括です。とはいえこのあたりは、2015年の解禁以来あまり事例がないのと、買い手の事情が千差万別すぎてあまり一般化はできないでしょう。
ベトナムに住んでいて伴侶がベトナム人で、年齢もまだ若くて、他のベトナム人の若い夫婦が(かなり投資よりなマインドの)マイホームを購入するのと同じ感じで購入する人もいれば、完全に不動産投資用に購入する人もいるでしょうし、賃貸収入を狙う人も転売を狙う人もいるでしょう。
投資に対する前提もスタンスも期待する結果もぜんぜん違うので、ベトナムの不動産に投資をするのが良いとも悪いとも言いようがありません。
安いもので1000万円、高いもので3000万円ぐらいするものを、現金で一括で購入。しかも即決となると、こういう事ができる人はあまり多くはないでしょう。資金のあるなしの問題ではなくマインドの問題であり、外国人枠のうち日本人枠はまだ残っているというのもむべなるかなと思います。
ただ、これを楽しいことだと思える人にとっては(少なくともベトナム人は楽しいと思っているようで、マンション購入の話をすると誰もが目が輝き、とてもうれしそうに話し出します)、これはたまらなく前向きでキラキラした、そしておいしい話だと思います。
そういうことですので、興味があるという方は ktht.cameo@gmail.com までご連絡ください。友人の営業マンにおつなぎします(日本語可)
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