プラスチックの代替としての米粉ストローの課題と展望

Author: ktakeuchi

米粉ストローとは、米粉やタピオカ粉トウモロコシ残滓などの食品由来の原料を使って作ったストローになります。
したがって厳密には米粉だけではないのですが、適当な集合名詞がないのでここでは暫定的にこう呼びます。

これは、一言でいうと「マカロニ」です。
米などの粉を練ってストロー状の形状にしたものなので、マカロニであり、ライスペーパーを丸めたものであり、着色料で色さえついていなければ、限りなく乾麺に近い印象を受けるものです。
実際に「食べられます」ということを売りにしているメーカーもあります。食べておいしいかどうかは疑問ですが、食べても大丈夫なぐらいに安全だというアピールです。なお、米粉ストローの場合原材料が米ということになると米加工食品という扱いになり、関税なり食品衛生法なりがとても厄介になるので、食べられるって言わないでくれという、ちょっと笑える話が日本ではありました。

価格

米粉ストローの最大の魅力は、価格になります。1本あたり単価は0.01〜0.03ドルまで下がります。これは概ね0.2ドルの竹ストローの10分の1になったということです。そして、いくら米粉を丸めただけのものとはいえこれは工業製品です。規模の経済が働きます。1本あたり単価にばらつきがあるのは、どれだけの量を買うかによって変わるからです。購入するロット数が大きければその分単価は安くなりますし、そういう交渉もウェルカムです。
「安いことに後ろめたさがない」「消費者が値切った分だけどこかの誰かが奴隷労働をしているわけではない」というのは、特にプラスチック代替ストローという分野においてはかなり重要なことではないかと思います。

もっとも、プラスチックのストローの単価は、これもロット次第ではありますが、0.001ドルぐらいですので、これでも10倍ぐらいになります。でも10倍まで縮めてきたとも言えるし、今後も量産効果が見込まれます。もし仮に、今後プラスチック製のストローが全廃されて全てが米粉ストローに変わったとすれば、その単価はプラスチックと変わらなくなるでしょう。

工業製品としての米粉ストロー

環境保護のためにどの程度の不利益を受益者に要求するかといのは難しいところではありますが、日本円でいうと消費者は10銭が1円になるのを甘受してくれというのは、それぐらい要求しても良いことのように思います。

耐久性

米粉ストローに対して最初に抱かれる疑問は耐久性についてです。マカロニかライスペーパーみたいなものを水やお湯につけておいて大丈夫なのか、すぐ溶けるのではないかということです。
これに関しては実用上の問題はありません。マカロニやライスペーパーは濡らしたらすぐに柔らかくなるように作っているからそうなっているわけであって、これは当然そうならないように作っています。
具体的に言うと、温かい飲み物でも冷たい飲み物でも30分ほどは問題なく使用できます。30分を過ぎると温かい飲み物ではヒビが入って使えなくなり、冷たい飲み物でもヒビは入るが使用は継続できました。How waterで30分、cold waterで2〜3時間というのがメーカーの言う時間ですが、これは部屋の温度や湿度も関係してくるでしょう。

実働時間30分と考えると、十分実用に足るのではないかと思います。カフェだとちょっと短いかもしれませんが、ファストフードではこんなものかと。すべての客が30分以上滞在するような店では難しいかもしれませんが、30分以上の利用は例外的という店では、別にひび割れたら取り替えればよいだけの話ですし。

竹ストロ―も、そしてそもそものプラスチックストローにしても、いわば耐久性がありすぎることが問題だったわけです。30分でひび割れて、あとは使い捨てにすれば良い。燃やそうが埋めようが、よくはないにせよ自然環境に流出しようが、全然問題ないというレベルのものです。なんせパスタですから。使用後のストローは残飯と同程度のものであり、生ゴミと一緒にしてしまっても何の問題もないでしょう。

においや保存性

米粉ストローは変な匂いがするといった意見もあります。これは米粉ストローそのものの問題と言うよりも保存の問題でしょう。なんぜマカロニですから、その保存環境はマカロニの保存と同程度にしなければいけないということになります。しけったりカビたりだってします。そのようになってしまったストローを使えば、変な匂いがするということもありうるでしょう。
しかしこれは、米粉ストローというものに慣れていないからこうなるにすぎないです。

触感

良い事ずくめに思える米粉ストローですが、実は大きな問題があります。
それは触感です。
製法上、あまり薄くできないのです。
プラスチックのストローは非常に薄く、プラスチックの独特の触感がします。口唇という人体で一番敏感な場所に触れるわけなので、口に含んだ時のプラスチックストローとの触感の違いは明らかです。
分厚く、そしてそのザラッとした感じといい、要は、まさに「マカロニを口に咥えた感じ」がします。
そしてそれが、頭の中に「これは食器ではなく食物である」という信号を送ってしまうのです。
これを一言でいうと「違和感がある」と。

しかし、これこそ慣れの問題にすぎないというようには思います。
この世に出てきたのがプラスチックストローのほうが先だったので我々がそのようなものであると思っているだけで、もし米粉ストローのほうが先に世に出ていれば、私達はプラスチックストローを口に咥えたときに、なんともいえない違和感を感じて戸惑ったり拒否したりしていたでしょう。

結論と今後の展望

米粉ストロー(トウモロコシ残滓やタピオカ粉などの他の食品原料製を含む)は、十分プラスチックストローの代替になると思います。
特に回転数の早いファストフードや、ゴミが自然界に直接投棄される危険性の高いテイクアウトでは、積極的に使用したほうが良いものといえます。
たくさん使われるようになれば量産効果で単価も下がり、そう遠くない未来に今のプラスチックストローと同程度になるでしょう。

問題は「従来のプラスチックストローと比べた時の触感」ですが、それについては「慣れろ」というより他ありません。
消費者の嗜好は最大限尊重するべきではありますが、絶対的に尊重されるべきとはいえないと思います。世界の海がプラスチックでうまることと比べたら、それぐらいのことはいいじゃないか、と言ってもよいのではないでしょうか。

とはいえ、消費者に対して大上段に使用を強制してもどうせ無理なので、現実的な普及策を図っていくことになります。
それはおそらく、「飲食サービスの提供側にとって実はこっちのほうが都合が良い」という方面からだと思います。

生ゴミとして処理できる

皿やカトラリーをプラスチックでなくしていって、最後に残るのはストローになります。このストローを米粉にしてしまえば、後片付けをするときに食べ残しと一緒に捨ててしまうだけです。分別の必要がそもそもなくなります。分別しろとルールを増やすよりも、そもそも分別の必要をなくしてしまうというのは、飲食店(特にファストフードなど)では魅力的ではないでしょうか。

回転率を維持できる

お客様にゆっくりと利用していただきたいと飲食店はいいますが、客回転率も大切な要素です。ゆっくりしてほしいのはその分だけ客単価もあげてほしいからであって、ドリンクいっぱいで何時間でもいてほしいというお店は、皆無とはいいませんが、少数派でしょう。その時30分で使えなくなるストローというのは、まあまあだいたい悪くないというように思います。お冷を注ぎたすよりもスマートではないですか?