プラスチック代替としての竹ストローの課題と展望

Author: ktakeuchi

竹は100%天然素材ですし、成長が早く、根を残すことでまた生えてきます。このあたりの竹の特徴は日本人には説明不要ではないでしょうか。
形状的にストローになるべくして生まれてきたように見えます。プラスチック代替ストローといったときに誰もが最初に思いつくのではないかと思います。
しかし、国際機関なりNPOなりの人が思いつきを実際に検証したのかは疑問です。竹はストローの素材としてあまり良いものとはいえません。

価格

これが一番の問題です。値段は一概にはいえませんが、メーカーから出す価格で1本0.15ドル〜0.25ドルです。真ん中をとって0.2usd/pcsとしましょうか。これに対してプラスチックのストローはこれもピンきりですが、0.001usd/pcsぐらい。つまり200倍です。
そして、一番厄介なことはこれは量産効果の問題ではないということです。一般的に工業製品はたくさん作れれば作るほど単価は下がっていきます。プラスチックのストローだって世界で年間1万本ぐらいしか作られないものならば、単価は200倍どころではないぐらいに高かったでしょう。しかし、マーケットが開けて需要が拡大すればどんどん量産できるようになり、単価も下がるでしょう。工業製品ならば。しかし竹ストローは工業製品というよりも手工芸品に近く、大量生産したところでコストが下がるわけではありません。

竹ストローを生産している。

竹ストローは、ストローに適する太さのものを刈り入れ、乾燥し、適切な長さに切ります。そして磨いて完成です。非常にシンプルな工程ではありますが、逆に言うと機械化やカイゼンでコストカットできる要素がありません。人間が手間ひまかけて生産している以上、0.2ドルというのは現実的な原価です。
人間の創意工夫と市場の神様の叡智はきりがないと聞いているので、0.2ドルを0.15ドルに、ついには0.1ドルにまで下げることは可能かもしれません。しかしそれ止まりです。1/200にはなりません。絶対に。しかし市場ではすでに価格競争させられています。このときどうするか? 人間を搾取するしかないですね。工程に人間しかいないのだから人間を削るか絞るかするより仕方ないです。
実際に、0.2usd/pcsを大きく下回った竹ストローは市場に出てきています。誰がどうやってそれを作ったのですかね。

はたして、こんなことが正しいことなんですかね。
それがもし人類進歩と地球環境のために不可欠のものならばまだ救われるのですが、お金持ちや感度の高い人達のスタンドプレーのためだとするのならば、あまりにも残酷ではないですかね。

耐久性

視点を変えてみましょう。竹ストローがプラスチックストローの200倍の単価であるのならば、使い捨てにせずに200回使えば元が取れることになります。
しかしこれも、実際にはかなり理念先行です。それは耐久性の問題です。

たしかに、竹ストローは連続200回使うことはできるでしょう。おそらくもっと使えます。事実上半永久的に使うことができるでしょう。しかしそれは、洗浄と乾燥という工程を無視した場合の話です。竹ストローを使うと、1回毎に水洗いをして、ブラシで中をこすり、陰干しする必要があります。このときおそらく200回は無理です。竹は自然素材であるが故に、カビが生えやすく過度にまたは急激に乾燥すればひび割れが生じます。そしてそれは手作業でなければなりません。製造工程も含めて生産から廃棄までの全行程の環境負荷はどうなるのかという問題も生じますが、それをさておいても、飲食店などの大口需要(特にチェーン店などの大規模店)では現実的には無理があるというべきでしょう。

釣具用の竹製の竿(和竿)を思い浮かべていただければよかと思いますが、絹糸や漆で強度を増したりしています。耐久性を志向すればつまるところ同じことが必要でしょう。これはもはや工芸品であって、まして使い捨てにするようなものではありません。

結論

竹ストローは家庭用途向きだと思います。
竹ストローはものとしての特質も素材も高級な割り箸と同じぐらいです。ご家庭内で割り箸を洗って使いまわしているでしょうか? やっているご家庭もやってないご家庭もあるかと思いますが、それと同じぐらいの感じになるかと思います。

家庭内で、使い捨てもしくは数回程度洗って乾かして使うもの。

それはそれであっても良いと思いますが、ファストフード店の使い捨てストローの代替にはならないでしょう。

今後の展望

竹のメリットもデメリットも、その素材としてのわかりやすさです。なんといってもむき出しの竹であり、誰がどう見ても竹を切ったものです。これ以上シンプルなものはありません。
そのデメリットを何とかする方向の取り組みはうまくいかないでしょうが、メリットを伸ばす方はまだ可能性があります。それはプレミアム方向です。
環境保護的にプラスチック代替的に全く後ろめたいことのない、いわば白無垢の衣装のようなイメージを持つ方向のニッチに特化することです。

竹ストローのメーカーはレーザー焼入れによるロゴの印刷に対応しているところが多いですが、今後もそういったアイデアは増えていき、試行錯誤が繰り返されると思います。