Coast Walk 10th Thanh Phong-Tiến Thành 非精製塩
前回まで
前回分が書けたら追加。
地図
往路
2019年3月15日(金)
歩き始めるのに、ビントゥアン省の省都ファン・ティエット市から40kmほど南にあるThanh Phongという村まで行かなければいけない。なぜなら前回の終了地点がそこだからだ。
前回とは2018年10月28日でここまで来ている。Google Mapとスマホがなければここにたどり着けない。というよりも前回の時点でここがどこかも分からなかっただろう。技術を活用することによってこのように愚かしい旅行をすることができる。ありがたいものだ。
とはいえ実際にここまでたどり着くのはそれなりに一苦労である。ここまでのホーチミン市からの所要時間は5〜6時間。土曜日の朝イチで出ても到着したらお昼になってしまう。徒歩旅行という性質上できるだけ朝早くから行動し昼までには行動を終えてしまいたい。午後の日差しはこたえる。
そこでまずは金曜日の晩に仕事が終わってからファン・ティエット市まで移動し前泊することにする。金で解決と体力で解決の中間ぐらいの方法。どっちつかずともいう。そんな事を言っても始まらないのでまずは移動。ホーチミン市からファン・ティエット市への移動は鉄道もあるしバス会社もいくつもあるのだけど、今回は同市出身の友人が「うちらジモティーが使うのはここだよ」といっていたTâm Hạnhバスで行くことにする。
バックパッカー街のファングーラオからほど近いところにある。外国人の観光客も多いムイネーに行くバスも多い(というかファン・ティエット経由ムイネー行き)ので、外国人旅行者の利用にも便利だと思う。会社ページは英語も整っているし。たぶん会社ページから予約もできるのではないだろうか。私は前日に直接店頭に行って予約したから知らんけど。
旅情漂うバスの待ち合い風景。都市間バスは市内のバスターミナル(Bến xe Miền đôngやBến xe Miền tây)から出ているが、バスターミナルと関係なく直接自社の事務所から出ている場合もある。ファン・ティエット出身の知人が進めてくれたように、こっちのほうが地元民向きということなのだろう。たぶんそれは小荷物輸送(チッキ)が可能だからで、このバスも人の乗降よりも先に荷物の上げ下ろしをしていた。こういう会社が市内にいくつもあり、みんなそれぞれ自分の出身の街と紐付いた会社は知っているが、それ以外の街のそういうバス会社は知らないし興味もないって感じ。当たり前といえば当たり前だけど。
20時発で、途中1回の休憩をはさみ4時間ほど寝台バスに乗って、正確には23時42分にファン・ティエットのTâm Hạnhバスの事務所についた。
地図でいうとここにある。
何度か来たことがあるので見知らぬ町とは言わないけど、そんなに知らない地方都市の街角に夜中に放り出される心細さというのはかなりのものがある。前回の旅行でこのあたりに旅館が多いことを確かめていたからできることであって、なんとかそのうちの1件に潜り込む。これから寝ようと思っていたおっさんが私の姿を見て「チッ、面倒だな」という顔を見せ、清潔ではあるが窓のない部屋に通してくれた。これで250kは高いと思うが、選択肢のない状況で文句を言えた義理でもないので、おとなしく同意して早々に寝込む。
2019年3月16日(土)
早起きして早朝のバスで目的地というか出発点のThanh Phongに行くつもりだった。だけど早々に寝込むつもりがなかなか寝付けず、窓のない部屋で日が昇ったあとも寝続けていた。起きた瞬間「あ、これはまずいのではないか」と思ったが、時計を見たら案の定9時前だった。何しに前泊したのか。やや落ち込む。
いささか恨みがましく250k払って宿を出て、近いのは分かっているが時間短縮のためタクシーに乗ってコープマート(Co.opmart Phan Thiết)に行く。すぐついた。
このコープマートの前から、La giに行く6系統のバスが出ている。30分ほど待ったらバスが来た。車掌がどこまで行くのかと聞いてくる。Thanh Phongと答えればいいのだけど、こういう場合「ここがThanh Phongだ」といってピンポイントの目的地から微妙に離れたところで降ろされたりするので、大した金額差でもないのだから終点のLa giまで切符を買っておく。20k.
約1時間でThanh Phongに到着。
Google Mapを見ていると、目的地にどんどん近づいていくので、それと上の写真を見比べて場所を特定する。通り過ぎた瞬間に「降ろしてくれ」と車掌にいうと、やや怪訝な顔をしつつも数百メートル先で降ろしてくれる。今回もばっちりピンポイントで前回終了地点と同じところに着いた。あたり前のことのようだけど、ここまでできるようになるためにはそれなりに苦労はしましたよ。
Thanh Phong – Kê Gà 10.78km
2019年3月16日(土)
前回撮ったのと同じ写真を撮り、その中のものを手で触ることで前回と今回をつないでいる。いつの間にか始めた自分なりの儀式である。
今回もこの配電盤の0953.277.277のシールを手でパンと叩いて確認。道中多少あったとは言えこうしてきっちりと物事を済ませることができて内心は得意である。たぶんにんまりしている。この電柱の横にはカフェがあり前回と同じくおばちゃんがオレンジジュースを売っているが、私を見て不審というよりもむしろ怯えていた。何者が何をしているのかさっぱり分からないだろうからなあ。
精製塩とアレルギーの関係を本気で信じているわけではないけれども
Thang Phongの街を出てすぐに塩田が広がっている。ブンタウの近くやサーフィン(Sa Huỳnh)など塩田は何度かみたことがあるが、初めて収穫というかなんというのか、塩が塩田の横に積まれていた。
(書きながら思うのだけど、収穫? 採取? とどの言葉を使えばいいのか分からなかった。)
今まではこれは見たことがない。旬のあるものなのかは分からないけど、考えてみれば乾季ももうすぐ終わるので(4月頃まで乾季)、収穫時期と言えばそうなのかもしれない。
珍しいものなので手にとって舐めてみる。うん。たしかに塩だ。
いやもちろん、道端のものをいきなり口にするというのに躊躇はした。でもこれもともと食用だし水洗いできるものでもないから売り物だってこれと変わらないだろう。そもそも結晶ではないか。日ざらしのバインミーのほうがよほど危ないわい。いちおう塩の山をかき分けて中の方から掬った。表面は自動車の排ガスとかホコリとかあるだろうし。雪と同じだ。
「道端のもん食べたらあかんで」と母親に怒られたような気がした。子供の頃に「そんなもん誰が食べるかい!」と思っていたことも思い出した。自分自身の記憶としても道に落ちているものを拾い食いなどしたことがない。だけどそれは記憶保持ができるほど知能が発達してからの話であって、赤ん坊でそこらへんを這いずり回っていた頃は何でも口にしていたのだろうと思う。そんな昔の母子の物語を思い出して少しく追憶と感傷に浸った。
のだけれども、よく見るとこの塩田の畦を犬が歩いている(上の写真参照。)
犬のおしっことかも成分のうちなのだろうと思うと、塩を舐めたあとでかなり嫌な気分になった。・・・まあ、非精製塩に含まれる各種ミネラルってそいうことだろ。日本人にアレルギーやアトピーが増えたのは専売公社(現JT)が精製塩を売り出してからだって話も聞いたことがあるしさ。知らんけど。
無理やりそう思ってみるけど、畦を楽しそうに歩く犬の姿は圧倒的である。親の言うことはたいがい正しいものである。
Cape Ke Ga
ドラゴンフルーツ畑の中を抜けて、10kmほど歩いて今日の目的地のケガ岬(Mũi Kê Gà)に到着。出発時間が遅かったとはいえ10kmちょっとなので出発して3時間ほどしかたっていない。5時間もかけてここまできて3時間かと思うともったいなくもあるが、この先はリゾートホテルだらけで宿泊に困るだろ言うということもある。ケガ岬の周辺は小さな町になっていて、安い宿も何件かある。その中の一つのNhà nghỉ cô Hươngというのを選んだ。部屋は小さくNha nghiにしては250kはやや高めであるが、シーサイドビューだしとても清潔だった。
ケガ岬。良いところである。観光地化されていないとか素朴なとかそういう言葉が思い浮かぶ。実際はちょっと観光地になっているのだけど、それほど大した観光地化でもなく、普通に良いところだと思う。夕日を浴びで水面が輝くこの写真は「いかにもな写真一枚いただきました」という感じだ。
同じところから撮った夜の写真。漁船が沖合に出てLEDだと思うけれどもカラオケ屋の電飾のようになっている。幻想的と言うには言い過ぎな即物的な後継に見える。というかベトナムの田舎や都市の郊外(要はすました大都市の中心部以外)ではカラオケやお姉ちゃんのいるカフェなどややあやしげな店にはこういう電飾がよくかかっている。 なお、上の写真と同じ場所で撮影したが、そのときも今も実際のカラオケが大音量でかかっていた。まあそういうものであるし、私はだんだんそういうところが好きになってきた。旅行のしがいのある国だよほんとここは。
Mũi Kê Gà-Tiến Thành 15.95km
2019年3月17日(日)
今朝は無事に早起きして6時に宿を出る。なんせ暑いので、早めに出て早めに手仕舞いするに限る。
朝見たらこんな感じ。天気が悪いわけではないのだけどあまり神秘的な感じはせず、皆さん生活してます。実際に生活しているのだからね。ごもっとも。
リゾートホテル砂漠
朝食どうしようか。まだあんまり腹減ってないし、少し歩いてから食べたほうがおいしい。だからKe Ga岬にほんの数件だけあった朝食の屋台はパスして歩きはじめる。
だがこれは全くの失敗だった。Ke Ga岬からファン・ティエット市内の直前までリゾートホテルしかない。大体上のような光景。働いている人はいるけど住んでいる人がいないから直食屋台とかない。もともとこのあたりは海岸砂丘で水がない。たぶん井戸を掘っても出ないだろう。だから人の住めない土地だった。道路ができて水道ができて「リゾートホテル」という商売ができて、はじめて経済的に有用になった土地である。「こんなに同じようなものばかり建てまくって需要あるのか?」とは思うが、元値がそれだけ安いからだろう。
皮肉っぽく言っているのではなくて、Ke Ga岬とは違う意味で良いところだと思う。私だって好きでこんなことしているとは言え、こういう旅行しか受け付けないってわけじゃないし、車で乗り付けて家族や友達と海辺のリゾートでのんびりするような旅行だってきらいじゃないよ。砂と汗にまみれて歩く私の横をすっ飛ばしていく金持ちのベトナム人の不必要に車幅の大きい車が憎いわけじゃない。あえていえば憎たらしいのはトヨタのFortunerでこの自分を大きく見せるためだけにでかい車体が狭い道をスピード出して通り過ぎていくと「不幸せになりますように」と心から願わざるをえないし、あとKIAのSORENTO! あのでかいためだけにでかい車はオールタイム難い。・・・まあ落ち着きなさいよ。車が難いわけじゃない。ただご飯が食べられないのがつらいのだ。
結局一口も食べることができなくて15kmほど歩いたところでリタイア。 Tiến Thànhという街だった。暑いし疲れたし目が回る。他人の不幸を願った罰があったのだ。いいじゃん、フォーチュナー。
復路
2019年3月17日(日)
この木陰のカフェで椰子の実を飲みながらバスを待つ。30分弱でファン・ティエット行き6系統が来たので乗り込む。混んでいて座れなかった。社内はやや魚臭い。実際に、こまめに荷物の受け渡しをしている。携帯で電話しあっているのだろうけど器用なものだ。それに良いことだと思う。
12:35にファン・ティエットのコープマートの前に到着。歩いてTâm Hạnhバスの事務所に行く。
しかし、今日の便はすべて満席だという。
そう来たか。それは想定していなかった。
まだ日曜日の1時前。ホーチミン市までどうとでも帰れるだろうけど面倒なのは嫌だ。
タクシーを止めてバスターミナル(Bến xe)まで行ってもらう。近くになって、大手のFutaとKumho Samcoの事務所が並んでいた。ほっとした。どっちでも良いのだけど、Futaが14:30発でKumhoが14:00発なので、Kumhoにする。お値段は145k. Tâm Hạnhは120kだったので少し高い。
14時ぴったりに出発。高速道路が混んでいたので、1時間遅れの19時にホーチミン市の東部バスターミナル(Bến xe Miền đông)に到着した。市バス46系統に乗りついで帰宅。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません