金がほしいか、愛がほしいか
間違い電話がかかってきた。英語でミン・トゥアン市場のあいつを呼んでくれと言う。
そんなの知らない。間違えているんじゃない? というと、お前は誰だというので、私は竹内という日本人だと答える。
間違い電話だとは思っていたし、今までも経験がある。ハノイの近郊の農村のおばちゃんに私を捨てないでと哀願されたことがある。同情はするけどどうしようもない。会社の通訳の人に代わってもらったら、私は農民だから英語なんか分からないけどあの人を出してと言われて、たいそう困った。
今回は歯切れのよい英語。ミン・トゥアン市場とはバンコクの話ではないのかというと、そうかもしれないという。ところで私はベトナムに住んでいるのだがサヨナラというと、待て! 金儲けに興味はないかと言う。
金は欲しいが、君は信用できないね。
国番号は44てイギリスだけど、三枚舌英国面にしては東洋人の扱いが下手だ。俺は金よりも愛が欲しいんだというと、そんなことよりも金がほしいだろう? という。
平行線だし、友人と食事に行く時間も迫っていたので、「サヨナラ」と言って一方的に切った。
何だったんだろう。詐欺の電話営業にしては効率が悪すぎると思う。